拠点リーダーメッセージ

ご 挨 拶

 

Professor Kaoru Takara 文部科学省によれば、グローバルCOEプログラムは、我が国の大学院の教育研究機能を一層充実・強化し、国際的に卓越した研究基盤の下で世界をリードする創造的な人材育成を図るため、国際的に卓越した教育研究拠点の形成を重点的に支援し、もって、国際競争力のある大学づくりを推進することを目的とするものである、とされています。平成21年度においては、特に研究面で学問分野間の学際的融合または学問領域の創成を図る国際的に新規性のあるプログラムを積極的に支援するとのことでした。

 平成21年6月15日、このグローバルCOEプログラム拠点に防災研究所が中核部局として申請していた「極端気象と適応社会の生存科学」が採択されました。これは、二つの21世紀COEプログラム拠点「災害学理の究明と防災学の構築」(平成14~18年度、拠点リーダー:河田恵昭防災研究所教授)及び「活地球圏の変動解明 -アジア・オセアニアから世界への発信-」(平成15~19年度、拠点リーダー: 余田成男理学研究科教授)を部分的に継承したものです。その内容は、気候変動による極端な気象現象や地球上の水循環の変化、人口増大、都市化や砂漠化などの地球規模の変化に対して、人類及び人間社会がどのように適応していくかをテーマとしており、特に、気象や水災害に関する科学的解明・予測と社会の適応策に焦点を絞っています。

 宇治キャンパスにある防災研究所と生存圏研究所とが、学内の五つの研究科(理学研究科、地球環境学堂、工学研究科、情報学研究科、農学研究科)、産官学連携センターと協力して、この課題に関する「教育ユニット」を平成22年度に新たに設置したいと考えています。この「教育ユニット」において、研究科の垣根を越えた理工融合、文理融合の大学院レベルの人材育成を行いたいと思っているのです。具体的には、上記五つの各研究科に入学した学生のうち、この「極端気象と適応社会の生存科学」プログラムを履修したい者は、教育ユニットに登録し、理工融合・文理融合の科目群(修士課程、博士後期課程のどちらで履修しても良い)とともに、インターンシップ研究、フィールド研修、学際ゼミナール、国際スクールなどへの参加が必修となります。大学院の間に2年以上(修士課程を含んでも良い)この「極端気象と適応社会の生存科学」プログラムを履修して所定の要件を満たせば、プログラム修了認定証が「教育ユニット」より授与されます。また、各研究科所定の要件を満たし、学位論文を提出して学位を取得することになりますが、その際には、各研究科の教員のみならず他研究科の教員の指導も受けられるように各指導教員の皆さんに工夫していただきます。

 このようにして、各専攻の日本人学生、留学生、社会人学生や若手研究者に学際融合的でユニークな研究を展開させ、知識と知恵を養い体系的に整理させて、generalist の視点を持ったspecialist を育成することを目標としています。この課題は、京都大学が掲げる「地球社会の調和ある共存に貢献する」という目標にも合致するものです。

 国内の既存の観測所・実験所はもとより、これまでの国際共同研究で対象としてきた海外のフィールド研究教育サイト、さらには、新たに、ニジェール、ケニア(またはタンザニア)、インド、タイ、インドネシア、フィジーに事業展開拠点を置いてフィールド研究を進めます。研究としては、二つの課題

課題(1):極端気象・水循環と災害の監視・予測に関する理工融合研究
課題(2):異常気象及び慢性的気象ハザードへの社会的適応策に関する文理融合研究
を設定して、これに学生や若手研究者も参画させ、教育・人材育成の場といたします。これは、OJT (On the Job Training)あるいはORT (On the Research Training) と呼ばれます。

 事業推進担当者は拠点リーダーを含め22名です。それらの担当者に加えて、各部局から多数の教員の方々に御協力をお願いしています。すなわち、講義科目の提供、異分野の学位研究、フィールド研究やインターン研修の指導、学際ゼミナール、国際スクールへの参画などです。

 人口稠密、開発活動が活発で湿潤・地殻変動帯に位置するアジア、乾燥・半乾燥地や熱帯雨林を持つアフリカは、世界的に見て社会的・自然的に厳しい環境条件をもち、それが故に極端気象にすぐれて敏感・脆弱です。そこでの人々の生計・生業は、世界人類生存の参考になるとともに、今後さらに厳しい状況が予想されるので適応策が緊要です。こうした地域での実践的な研究を展開して生存科学を探求し、国際的に有為な人材を育成したいと考えています。

 本拠点は、21世紀の地球社会のあり方のより良い指針と教育研究成果を世界に発信する独特の国際拠点と位置づけることができ、今後の展開が大いに期待されています。世界各国から多数の優秀な人材がこのグローバルCOE拠点に参加し、大いに力を付けて、再び世界へ巣立ってくれることを期待しています。

 

2009年10月1日

グローバルCOEプログラム

極端気象と適応社会の生存科学

京都大学防災研究所 教授兼副所長

寶  馨

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